実体化する透明おばけちゃん
透明おばけちゃんという存在は去年の夏に生まれました。
仕事が辛すぎて、寝不足とストレスが相まって脳みそがふかふかしていました。
このまま消えたらどんなに楽かと考えていました。
そういうときに、自分ではない存在を意図的に作り出して、それに辛いことを肩代わりしてもらえばなんとか生きていけるんじゃないかと思い立ちました。
とりあえずTwitterアカウントを作成しました。
名前は透明おばけちゃんです。
理由はおばけは実体がなくて無敵だからです。
あと、敬称をつけたときに「〇〇ちゃんさん」ってなる感じが狂おしいほど好きだからです。
そんな感じで辛いことがあれば透明おばけちゃんに愚痴を呟かせ、自分の体験ではないと思い込む遊びをしばらくしていました。
結論から言うとすぐに飽きました、というよりも、うまいこと辛い体験を自分から別の存在へ切り離すことができなかったのです。
会社のある日は、気持ちだけでも頑張るためにいつも空元気で愛想よくしていました。
休みの日は1週間を乗り越えるために家に篭って身体と精神を休めるという生活をしていました。
気付けば自分が透明になっているようでした。
楽しいことや、やりたいことや、なんのために生きているのかがぼんやりしてきました。
家と会社の往復で人生は最高に薄まっていたのです。
透明おばけちゃんの誕生です!
おばけのふりをしていたら、実体感のない人間になっていたのです。
当時のわたしはうまいこと会社の歯車になることに熱を上げていました。
今までちゃらんぽらんに生きてきたので、そうすれば真人間になれると思ったからです。
おたくで中二病で選民意識に溢れた学生生活を送ってきたわたしは、社会人になったのを機にちゃんとした大人になりたいと思っていました。
おたくを隠しいろんな人とコミュニケーションを取るのは楽しかったです。
積極的に仕事に取り組んで、褒められたときは嬉しかったです。
突然の転勤や業務変更を命じられた時も、「ハイ、よろこんでー!」と受けられる自分まじかっけーと思っていました。
全然喜んでなかったのにね。
やっぱり無理をして生きていると頭がぼんやりしてきます。
意欲や自主性を持たずに、″こうすれば会社や人に喜ばれるぞ、好かれるぞ″ということを行動指針にしていると、自分の人生を生きている感じがまるでしないのです。
それはそれでいい経験だったし楽しかったです。
でもやっぱり自分の言葉で、自分のことを表現できる人間になりたいです。
とりあえず透明おばけちゃんとして、自分の頭で考えたことを素直に表現しようと思います。
そうすればどんどん自分が実体化していくようで少し嬉しいからです。